帰省してきました。

9月19日午前0時10分、自宅マンションをスタートしました。
いつものごとく日数分の下着と洗面用具のみ、大した準備もないまま普段着で出発。
大事なのは愛車の整備とコンディションチェックのみ。

深夜走行のためほとんど渋滞にも合わずに東名高速まで進行できました。

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新東名・清水PAで2時間ほど仮眠してからしばらく走行。

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突然空が晴れ渡り・・・毎度毎度のことながらきれいな富士山。

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大好きだった相棒の「びーち」の遺骨と爪が入ったペンダントがお守り。
そして「びーち」を守ってくれているのが沢山の「ふなっしー」たち。

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港北PA辺りから大渋滞で用賀・東京料金所まで軽く1時間、そこから首都高に入るまで数十分。
いつものようにレインボーブリッジから湾岸線に入ろうと思ったら
なるほど、そういえば新しいルートが開通したって言ってたね。行ってみようか。
これでいくらか渋滞を回避できるね。

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このルートだとレインボーブリッジは渡らないのね、
その代わり大井ジャンクションまでずっとトンネルの中を走ってちょっとしたアトラクション、
まるでTDLのスペースマウンテンみたいに光のトンネルを右に左にカーブが続いて…
視界が開けたらすぐにお台場フジテレビのすぐ横を通過して面白かったです。

さて無事に実家に到着して一息ついて、最近ちょっと物忘れが激しくなった親父と会話。
やっぱり間違いない、その「症状」が随所に表れてます。
僕が今も勉強している認知症のテキストの中に書かれている様々な点と合致します。
否定せず、笑わず、叱らず、強制せず。傾聴して親父の世界観にできるだけ同調する。
今まで生きてきた親父の人生の中に様々なヒントがあるのだから家族こそ理解しなければ。

一緒にお墓参りに行ってから近況報告、世間話、同じ質問があっても気にしない。
同じ会話が繰り返されてもめんどくさがらない。
食べる動作、お茶を飲む動作にもその「症状」が見て取れる。表情も少しうつろな時がある
だけどよくしゃべり、そして時々笑う。会話の内容は決して支離滅裂ではない。

翌朝、クルマの簡単な整備を済ませて親父に話しかけてみました。
「どこか行きたいところある?」
すると「浅草…浅草に行きたいなぁ」とブツブツ。
よくよく聞いてみると浅草の演芸ホールとかそういう類の事ではなくて
親父がずっと昔、僕が生まれる前の若者だったころ、故郷山形から上京してきて
東京のあちこちで住み込みで仕事をしていたいくつかの会社、商店、工場を
今はどうなっているか実際に歩いて見に行こうということになりました。

まずは本所(ほんじょ)の印刷会社。ちゃんと当時の場所に残っていました。
嬉しそうに、恥ずかしそうに、会社の入り口前で記念撮影する親父。

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今朝とは別人のように昔話を語り始めました。
上京してきて就職したときの話、仕事の自慢話、苦労話、近所の街の話、
若かった頃の話をする親父はとても楽しそうに良く笑って目をキラキラさせていました。
そのまま町の中を散策して当時の思い出の風景を探して歩きました。
「あぁ!この材木屋は昔もあったよ、同じだ同じだ」楽しい記念撮影は続きます。

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僕の知らない親父の青春時代が垣間見えて僕もまた楽しいです。
この日はちょうど下町の祭りで通りのあちこちからお神輿と、威勢のいい声。
大阪のだんじり祭りと違う、江戸の祭りの風景が僕にとっても懐かしい感じがしました。

亀戸の天神様の近くで下宿生活をしていたころの話を聞きながら到着。
「あぁ、懐かしい、何十年ぶりかなぁ」と頬を紅潮させて笑っていました。
あの頃無かった東京スカイツリーも今ではこの町に当たり前のオブジェになっています。

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沢山のカメが遊ぶお池に「昔はカッパの像があったんだよ」と話してくれました。
お賽銭を投げ入れて柏手を打ってお参り。パンパン!と僕の大きな音。
そしてパスパス、と親父の乾いた小さな音。目を閉じて、何をお願いしていたのでしょうか。

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最近はあまり出歩かず、運動量も減ってますます老け込んでいたような親父が
今日は活き活きとして東京の下町を歩いています。そして50年近い昔の話をしています。
いつもと違う非日常のイベントが、うまい具合に「スイッチ」を入れてくれたのでしょうか。
僕はこういうイベントがいかに大切かを身をもって知らされた思いでした。

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探しても探してもどうしても見つからない会社が一つあって。
どうやら周りの風景からして道路の拡張工事で撤去させられたようだったので
老舗を謳ったおせんべい屋さんに昔のことを聞いてみることにしました。

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中にはまだ30代と思しき、まるでモデルさんのようなきれいな娘さんが店番をしてました。
聞くと彼女はこの町で生まれ育った生粋の地元っ子で、道路拡張工事の事も知っていました。
そして親父が務めていた会社名を話すと、今でもその会社の大奥様がおせんべいを買いに来る
そんな偶然の巡り合いもあって元の会社があった場所に親父を連れていくことが出来ました。

この亀戸では有名な家具店があって、親父はそこに住み込みで働いていたそうです。
大きなタンスを自転車の荷台に積んで納品した苦労話を聞かせてくれました。

その後もぶらぶらと街を散策、するといかにも昔ながらのお風呂屋さんが見えてきました。
「あぁ!ここに来たかもしれないなぁ、そうかもしれないなぁ」と言って目を細めているので
「きっと来てるよ、ここで写真を撮ろうよ」と言ってまたパチリ。
本当に、昭和初期からずっとここにあると思われる古びた銭湯でした。
若かった親父がここで仕事の後の汗を流しながら大好きな歌を歌っていたのかもしれません。

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いくつかの街を車で移動しながら「あ、ここは!」「あ、あれはね」と説明してくれました。
上野、錦糸町、浅草、亀戸、葛西、船橋…。ひとつひとつの町に親父の青春がありました。
そして今の僕と同じように親父もまたいくつかの職を転々としていたことが判って驚きました。

その日は帰宅してから少し疲れたようで、2時間ほどしんどそうにしていましたが夕食は完食。
翌日は僕の提案で午後からみんなでカラオケに行こうということになり
実は昔、キングレコードの歌謡学校?に通っていた事もある親父のスイッチが入りました。

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これも僕の予想していた通りで普段と違う状況で脳を活性化できないかと思ったからです。
よく考えたらカラオケボックスに親父と行くのはこれが初めてだったかもしれません。
喫茶店やスナックで1,2曲なんてことはあったのですがこの日はきっちり3時間ノンストップ。
懐メロを楽しそうに歌う親父の横顔を見ながら僕も何だか嬉しかったです。

千葉に滞在する最終日、親父が墓参りに行こうと言うので二人で墓地へ。
ここで我が家も含めて3軒のお墓を参るのですが
その3軒とも、お墓の場所を通り過ぎて全然違う場所をうろうろ探していました。
親父がお墓の場所を忘れるなんて…もちろんこんなことは初めてでした。
3日前に来た時にはなかったことですし。
僕はできるだけ平静に「ここだよー?」と指さして、「あぁそこかー、ふふふ」と親父。

さぁ車に戻ろうと思った時に僕が「あれ?さっき渡した僕のハンカチは?」と聞くと
「えーと、えーと」とポケットやらカバンやら探し始めたので
「いいよいいよ、きっとどこかに落ちてるから見てくるね、ここで待っててね」
そういってお墓の方に向かって(100mほど)歩いて戻りました。

地面に落ちていたハンカチを見つけて戻ってくると親父が知らないご夫婦に話しかけています。
そこにハンカチを持った僕が帰って来て「は、あったよー、帰ろうか」と声をかけると
そのご夫婦のご婦人が「あ、息子さん?よかったですねー、息子さん帰って来てくれて!」
何だかおかしな話になっていたようです。
ひょっとしたら僕が親父を置き去りにしてどこかに行ってしまった、どうしよう?
そんな事をこの見ず知らずのご夫婦に相談したのかもしれません。ちょっと悲しい。

このまま家に帰ってしまうよりも、もう少し親父とあちこち出かけてみようと思い
(ひょっしとして次に来たときは僕のことを分からなくなるかもしれない)
僕が「今からオートバックスでオイル交換するけど、一緒に行く?」と聞くと
「うん、行こうか」と返事。
千葉の地元の細かい道を「あっち、これを左、そこ右」と教えてくれます。
車の運転が得意で、どこにでも僕を車の乗せて連れて行ってくれた親父を
今は僕が運転してあっちこっち連れていきます。助手席の親父が毎年小さくなっていきます。

オートバックス店内の賑やかさ、豊富な商品の陳列に驚いたり
オイル交換を申し込んで放送で呼ばれて作業終了でまた呼ばれるまでのシステムに興味津々。
昔はこんなこと全部自分でやってたよね親父。バラック造りの工場の前でトヨタ・パブリカ
ケロヨンみたいな顔つきのライトバンがあの頃はカッコ良かった。

オイル交換が終わって家に帰るのもまだ早い気がして
「動物公園に行ってみようか」と聞くと「うん、行こう」と親父。
連休中の千葉市動物公園は家族連れで大混雑だったけど、
まるで子供のころ上野動物園に行った時のように楽しかったね。

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ふれあいコーナーでヤギやらヒツジやら、うさぎは居なかったね。

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馬を見てすごく嬉しそうだった。山形の田舎にもいたのかな?
ペンギン、暑そうだった。プレーリードッグ、可愛かった。

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子供のころ親父に連れて行ってもらった動物園、今日は僕が連れてきたけれど
それでも何となくこうして二人で動物園内を歩いているとね
「アイス食べたい!」「ジュース飲みたい!」ってわがままを言いたくなるよ。
ひょっとしたら今僕がそう言ってわがままを言ったら「うん、飲もうか」って買ってくれそう。

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もう一度、いやこれからまたずっとずっと。僕の頼れる父親としてあってほしかった。
でもそろそろ交代だね親父。
そのうち親父が僕に甘えてわがままを言うようになるのかな。
そうなる前に、もっともっと子供らしく、甘えておけばよかったよ。

疲れたのか、急に飽きてしまったのか「もう帰ろう」と言うので外に出た。
途中で何度も「お腹すいてない?何か食べる?」と聞いたのに「要らない」と言ったのに
車で走り出すと同時に「そばでも食べようか」と言う親父。
「うん、いいよー。山田うどんで食べようか」僕はそう言ってUターン。

メニューを見せてもなかなか決まらないのもひとつの「症状」だけど。
そこで急かしたりせず
「俺はこれ食べるよ」と指をさして見せる。すると「じゃぁ同じのでいい」と親父。
ぷぷぷ。これで3日連続おそばを食べるね。そして3回とも僕と同じものだ。
僕はここで変化をつけてうどんに、おそばが好きな親父はそのままそばで。

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「大阪ではきつね、と言えばうどんの事なんだよ、きつねそばと言うのは無いんだよ」
僕がそういうと「じゃぁ大阪はうどんしか食べないの?」と親父。
「大阪ではきつねそばの事を(たぬき)と言うんだよ」と言うと「ふふふ」と笑った親父。

おそば大好きだね、また一緒に食べようね。

夜中に出発する僕を、今までならどんなに遅くても起きてきてパジャマ姿で見送ってくれてた。
だけど今日は「明日も朝早いからもう寝るから、気をつけて帰りなさいね」と言って寝た。
夜の8時にね。親父早寝早起きすごいね。

9月23日午前0時5分。親父の見送りが無いままクルマに乗り込んで

深夜の高速道路を走りながらこのたびの規制を振り返り、いろんな事を考える。

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眠くて疲れてて、体中が痛くて。
今までになく頻繁にサービスエリアでの休憩も多く、そして長く。
これが歳を取るということだね親父。僕もあっというまに老け込んでしまったようだ。
いつまでこうして自分で運転して千葉まで走れるんだろう。あと何回。

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帰り路はまったく渋滞に遭わずにスムーズに、ただ休憩が多かった分遅くなったけど。
今回も無事に第二の故郷、藤井寺に帰ってきました。

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大好きな車の運転が、ひょっとしたら今回初めて「苦痛」に思える事が時々あって
それはちゃんと出発前に仮眠をとらなかったからだとか
この連休中は毎日かなりハードだったからだとか
今回、僕に用意された布団と枕がまったく合わなくて、寝ていて体が痛かったせいだとか
(歳のせい)以外のいろんな言い訳を考えながら
それでもまた次に帰るときは絶対車で行こうと思っています。

財布の中に2枚のチケット。
今回新しくできた大切なタカラモノです。

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さぁ、明日からまた頑張ろう。

みなさんのシルバー・ウイークはいかがでしたか?
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by beach_house_2 | 2015-09-23 23:56 | 日記 | Comments(8)  

Commented by MMS at 2015-09-24 00:43 x
お疲れさまでした&お帰りなさい☆
びーちくんも、おじぃちゃまとお出かけ楽しかったね。
親孝行できましたねぇー良かった!

明日から、ファイトp(^_^)q 、、、~_~;
Commented by えるまま at 2015-09-24 08:29 x
長旅、お疲れ様でした。
親孝行はいいですよね。ちょっとだけ子供に戻れるチャンスですし。

私も先日、買い物中の父と会いました。
(母は足が弱っているのでお留守番でした。)
そこで近いうちに実家に行くと約束しました。
いろいろと話があるので、両親が大好きなコーヒーを持って
出かけたいと思います。
Commented by ミックパパ at 2015-09-24 12:27 x
お久しぶりです(^O^)
私も18から28まで亀戸の住人でした
懐かしい風景をありがとうございます
親孝行、良いですね
ず~っと帰省できますように♪
Commented by beach_house_2 at 2015-09-24 23:34
♪MMSさん
まぁ親孝行と言えるほどじゃないですけどね。
久しぶりに見た親父の変貌ぶりに正直戸惑いもしましたが
介護の勉強をしていたおかげでうろたえずに済みました。

♪えるままさん
お父様との時間、大切にして下さいね。きっと喜んで下さいますよ。
コーヒーを飲みながら有意義な時間をお過ごしください。
(#^^#)

♪ミックパパさん
なんと、亀戸に居られましたか!
東京の下町の、あの独特な空気感。僕は大好きです。
大阪の下町とはまた違った風情がありますよね。
アメ横なんて思い入れの強い街ですねぇ…。
Commented by クッキー at 2015-09-24 23:35 x
親孝行、したいときには親は無し とはよく言った物ですね。
うちの父は2年前に亡くなり、今でも恩返しが出来ていません。
べーさん、合間を見つけては、もっと、もっと会ってくださいね。
お父様もそう願っていますよ。では〜
Commented by beach_house_2 at 2015-09-24 23:52
♪クッキーさん
ありがとうございます。
そうですね。そうしたいものです。
(´;ω;`)
Commented by オヤビッチャ at 2015-09-25 09:31 x
貴重な時間を過ごされて大切な思い出がまたひとつ増えましたね。
お父様、相変わらず背筋がピシっとしてて素敵です。
私も同じ症状のある父と同居してますが、べーさんのように冷静でいられない時があります。
でも自分を責めたりしないようにしてま~す(^_^;)
Commented by らっきーたん at 2015-09-25 16:18 x
無事大阪に戻られてお疲れさまです。
お父様と素敵な時間を過ごされて良かったですね。
どんな事があっても生きてさえいてくれたらと思います。
お父様大事になさって下さい。


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